Conversation - 対談

Vol.1 デザインビジネスプロデューサー 天野 譲滋 × knot Rブランド責任者 河内 道生

第1回目の対談は、デザインビジネスプロデューサーの天野さん。
ノットコーポレーション代表の河内とは仕事だけではなく、プライベートでもお酒を酌み交わす仲。デザインに関するの想いやこだわりを大いに語ってもらいました。

デザインビジネスプロデューサー 天野譲滋 George Amano

株式会社ジョージクリエイティブカンパニー代表取締役社長。
「CIBONE」「George's」「HOUSE」を立ち上げヒットさせるなど、売れる商品開発、リアルな企業戦略プロモーションやマーケティングを多数手がける。また、現在は経済産業省のJAPAN DESIGN+の審査員に任命されるなど活躍の場を益々広げている。

今、求められるのは「空気までデザインする店づくり」

河内 河内天野さんと知り合ったのは2年ほど前ですが、お会いした瞬間に「この人はすごい!」ってビビッと来て、以来、公私ともに親しくさせてもらっています。  天野そうですね。すぐに意気投合して、気づいたら仕事も一緒にやっているし(笑)。
  河内天野さんの仕事は非常に面白い空間演出のプロジェクトが多いので、とても嬉しく思っています。ところで、天野さんはこれまで実に色々なタイプのお店づくりを手がけて来ましたが、そんな天野さんから見て、最近の店づくりで必要な事は何だと思いますか?  天野今、店づくりで求められているのは、「人」と「空間」をトータルでデザインすることですね。例えば飲食店なら、店の雰囲気はいいのにトイレに行ったらガッカリ…というような事があると、最近のお客様は二度と来なくなってしまう傾向があるでしょう?ですから近頃では店舗の設計やデザインだけではなく、ソフト的なもの、例えばショッピングバッグやショップカード、メニューの開発やスタッフの教育に至るまでトータルにプロデュースする仕事が増えていますよ。

天野 河内最近、僕は「空気を売る」という言葉が気に入っていて、とても意識しています。ひと昔前は、ただお洒落なデザインのものを作ればよかった。でも今それではお客さんは来ない。人が居心地よく感じる雰囲気も含めてお店なんですよね。弊社は店舗の設計・デザインの仕事をしているので、そこまでを空間ととらえて、集客に結びつく店舗をご提案しているんです。  天野ここ数年で、「小売店」は大きな転換期に入っています。昔ながらの八百屋さんや魚屋さんがなくなって、ショッピングモールに吸収されてしまいました。そして今、そのショッピングモールさえ人が来なくなっている。僕は家具屋の息子なので、「商店」がなくなるのは寂しいので何とかしたいという想いもありますし、プロの目で見ても、必要とされているという想いはあります。若い人たちはネットでしかものを買わないとか、人との付き合いが消極的だと言う人もいますが、その一方でフリーマーケットみたいなものがとても人気で、実は若者も、人と人との触れ合いが持てる店を求めている。ですから、今からの時代感に合った店づくりを求めて、次のステップに進まないといけないタイミングだと思います。

徹底的にコンセプトを考え抜くことが成功の鍵

天野 天野knotさんは物件の価値向上につながるマンションやビルのリニューアル提案も積極的におこなっているでしょう? 例えばマンションを借りる人の傾向は今、どんな感じですか?
  河内いやあ、厳しいですよ(笑)。特に今の若い人は、賃料や間取りが希望通りであっても、外観がボロボロだといくら中がいいと説明してもダメなんです。「いいから次に行って下さい」って感じで全く見ようともしないらしいです。ですから物件の価値を高めるためには内装と同様、もしくはそれ以上に外観には力を入れていかなくてはいけなくなっています。  天野住宅の価値といっても、目先の金額だけでなく、入居者にとってどれだけ居心地のいい物件であるか、ということも大きな価値ですよね。そのためには、例えば古いタイプの2部屋を1ルームにするとか、今の人のライフスタイルに合わせてリノベーション、リデザインすることで物件の価値を上げる事は可能だと思います。これはお店も同じですが、誰でもいい、どんな人でも来てくれればいいという曖昧な物だとかえって人は入らない。例えば服好きの人のためにクローゼットの多い間取りにするとか、料理好きの人のためにキッチンを充実させるなど、ターゲットを思い切って絞った物件づくりをすることで価値がぐんと高まる事もあります。ただ「駅から何分」とか「家賃○万円」と言われるより、こういう特徴のある部屋の方が借りたいって思うでしょう?(笑)。このようなストーリー作りの能力も、今、我々には求められています。  河内物件の価値を高めるためにいま一番必要なのは、コンセプトづくりだと思っています。これは店舗の設計やデザインをする際にもとても重要な要素です。ただお洒落にするだけでいいなら、有名デザイナーに依頼すれば済みますよね。けれども弊社が目指しているのは、オーナーさんの「どうすれば入居者が増えるだろうか」「どうすればお客様が来てくれるお店になるだろうか」という切実な願いを叶える物件やお店をつくることです。そのためにもまずコンセプトを徹底的に考え抜いて明確に示し、そのコンセプトからブレないように具体的な形にしていくことではないかと思っています。

失敗できない今の時代は、デザインも真剣勝負。

天野&河内 天野バブルの時代とは違い、今の時代は、1円たりとも無駄なお金は使えないシビアな時代です。クライアントにとって、所有するマンションやビルのValue upを考えることは真剣勝負。ですから僕らも真剣勝負です。そして今はオーナーと施行会社だけがいて、オーナーの言う通りに施工会社が作る、というやり方はもう通用しなくなっています。僕らのような「プロデューサー」がいて、デザイナーや施工会社、現場のスタッフなどみんなでチームを組むことで、価値の上がる物件や人が来るお店が生まれるんだと思います。お店を作ったり、マンションやビルの外観やエントランスを新しくするためにはまとまったお金も必要になるので、資金調達のスキームづくりまで、例えば金融会社と提携して出来るようになるといいですね。そういうシステムも含めて将来的にはknotさんと一緒に考えていけたらと思っています。  河内天野さんとは小山薫堂さんの事務所を作ったり、今はハワイアンカフェのプロジェクトも進行中ですが、天野さんのディレクションだと非常にやりやすいし、納得いく仕事が出来るのでやり甲斐もあります。  天野僕がサッカーでいう監督だとしたら、knotさんはプロフェッショナルの名プレイヤー。河内さんは僕の考えていることを細かいニュアンスまでちゃんと分かってくれるので、ツーカーで仕事が出来る(笑)。パートナーとして非常に心強い存在です。  河内みなさん今、予算のない時代ですが、そんな時代だからこそ、僕らもお客様に本当に満足して頂けるプランのご提供が出来るよう、真剣に取り組んでいます。この度、弊社では「knotが手がけることで新しい価値を創出する」というメッセージを込めてknot+Remodel→「knot R」という新ブランドを立ち上げました。天野さんのような名監督と力を併せて、コンセプトから提案し、我々の手が離れた後々までお客様に満足して頂ける設計やデザインを、これからも作っていきたいと思います。

2010/09/23
取材協力:pizzeria meri principessa(渋谷)
TOPへ戻る
COPYRIGHT©knot CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.